建設業界で一人親方として独立・起業される方にとって、最も避けたいのが工事中の事故です。
万が一のトラブルが発生した場合、修理費や治療費はもちろん、工事先・第三者への損害賠償が発生することも。
このような経済的リスクをカバーするために欠かせないのが損害賠償保険です。
とはいえ、「どの保険を選べばいいのか」「労災保険とは何が違うのか」など、疑問は尽きないと思います。
そこで本記事では、一人親方 賠償保険をテーマに、現場で起こりやすいリスクや保険の種類、選び方のポイントをわかりやすく解説します。
これから独立して間もない方や、保険を見直したいと考えている方は必見です。
一人親方が抱えるリスクと損害賠償保険の重要性
現場で起こりやすい事故の実例
一人親方であっても、現場作業を行う以上、大手企業の従業員と同様に事故リスクを常に抱えています。
具体的には、以下のような事故が代表的です。
- 落下事故: 高所作業中の転落や資材の落下
- 工具の取り扱いミス: 切断機・ドリルなどによるケガや周囲への被害
- 重機トラブル: ユンボやフォークリフトの操作ミスによる物損・人身事故
- 第三者への被害: 道路や近隣住宅の損壊、通行人や住民へのけがを誘発
事故が起きた場合の経済的リスク
もし上記のような事故が起きた場合、修理費や治療費、休業補償など、想定以上の高額賠償が必要になることがあります。
特に一人親方は企業のように大きな資金力や従業員によるサポートが限られるため、こうした賠償リスクが直接経営や生活を脅かす可能性があります。
万が一に備えて損害賠償保険に加入しておくことで、リスクヘッジと安心感を得られるのです。
損害賠償保険の基礎知識
損害賠償保険とは何か?
損害賠償保険とは、業務中や工事中に第三者に与えた損害を補償する保険の総称です。
被害者が発生した場合、賠償責任を負うのは施工者(一人親方)です。保険に未加入のまま高額の請求がきたら、一人では到底支払えないリスクも。
そこで賠償責任保険を用意しておけば、契約範囲内で保険会社が支払を肩代わりしてくれます。
賠償保険の主な種類
実務上、建設現場などで活用される賠償保険には大きく分けて以下のような種類があります。
- 請負業者賠償責任保険
工事の請負人が工事現場で他人にケガを負わせたり、物を壊してしまった場合の損害を補償する - 生産物賠償責任保険(完成後賠償)
工事完了後に欠陥や不具合が発生し、第三者の身体や財物に損害を与えた場合に補償する - 施設賠償責任保険
事務所や作業場などの管理不備で、訪問者や近隣住民に損害を与えた場合に適用される
一人親方でも主に活用するのは請負業者賠償責任保険が中心ですが、完成後のリスクにも備えたい方は、生産物賠償責任保険まで含めて検討すると安心です。
保険のカバー範囲を知る
保険商品によって補償範囲や補償額が異なりますが、賠償責任保険では主に以下の2つをカバーします。
対人賠償
工事現場や周辺で人がケガをした、場合によっては死亡してしまった時に発生する賠償責任を補償。
治療費や慰謝料など、高額になりやすい傾向があるため、手厚い補償を選ぶのがベターです。
対物賠償
施工中に建物や設備、車両などを破損した場合に対応。
工事個所の外にある財物にも損害を与えた場合は、しっかりとした賠償が求められます。
また、台風や地震など自然災害を原因とする損害は免責対象となることも多いので、特約の有無を確認しましょう。
他の保険との違いに注意
労災保険(特別加入)と賠償保険の違い
一人親方がよく検討するもう一つの保険が労災保険(特別加入)です。
ただ、労災保険は自分自身のケガや死亡に伴う補償が中心であり、他者に与えた損害をカバーするものではありません。
したがって、対人・対物賠償のリスクに備えるには、労災保険だけでは不十分です。
自動車保険や火災保険では代用できない
現場へ移動する時などに活用している自動車保険や、事務所の火災保険等では、工事中の対人・対物賠償を包括的にカバーできないのが一般的です。
専用の賠償責任保険を追加で契約するか、オプション特約を付ける必要があります。
損害賠償保険を選ぶ際のチェックポイント
同じ一人親方でも、扱う工事の種類や規模によって必要な保険は異なります。
加入前に以下のポイントを確認して、自分に合った保険を見極めましょう。
保険金額と免責金額
賠償保険には、対人・対物それぞれの保険金額を設定する必要があります。
対人事故の場合は高額化しやすいため、1億円以上など手厚く備える事例が多いです。
また、免責金額(事故が起きた際に自己負担となる金額)をいくらにするかも重要です。免責を高めに設定すると保険料は安くなりますが、実際に事故が起こった時の自己負担が増えるので慎重に決めましょう。
対象となる工事内容やエリア
保険によっては、高さ制限や地下工事の制限など、対象とする工事内容に制限がある場合があります。
自分が主に行う工事がその範囲に含まれているか、あるいは国内外どこまでカバーするかなど、適用範囲を事前に確認しておきましょう。
保険料の目安と試算
一人親方が加入する請負業者賠償責任保険の場合、年間数万円ほどからのプランが一般的です。
下記はあくまでも参考例になります。
| プラン | 対人・対物賠償限度額 | 免責金額 | 年間保険料(目安) |
|---|---|---|---|
| ライトプラン | 1億円 | 5万円 | 3万円~5万円前後 |
| スタンダードプラン | 2億円 | 3万円 | 5万円~8万円前後 |
| プレミアムプラン | 無制限(対人) / 3億円(対物) | 0円~3万円 | 10万円前後 |
※保険会社や契約条件によって、料金や補償内容は大きく異なるので、必ず見積もりを取得して比較検討してください。
損害賠償保険の選び方・加入の流れ
ステップ1:保険会社・代理店で相談
まずは保険会社や保険代理店に連絡し、自分の業務内容や工事規模を伝えてヒアリングしてもらいましょう。
一人親方としてどのような事故リスクが想定されるか、保険でカバーすべき範囲などを具体的に説明すると、適切なプランを提案してもらいやすくなります。
ステップ2:複数社の見積比較
1社だけで契約を決めず、複数の保険会社や商品を比較検討するのがおすすめです。
保険料や補償範囲、免責金額など細かい部分が異なるため、安易に「安いプラン=ベスト」と判断しないよう注意しましょう。
ステップ3:契約内容の最終チェック
見積もりをもとに契約を進める際には、
- 保険金額(対人・対物)
- 免責金額
- オプション特約の有無(生産物賠償、自然災害特約など)
- 注意喚起事項(高さ制限、危険作業の範囲など)
といった点を最終的にチェックしておきましょう。保険証券が発行されたら内容を再確認し、更新手続きを忘れずに行うことも重要です。
まとめ:一人親方こそ損害賠償保険をしっかり検討しよう
- 工事中の対人・対物事故リスクは常に存在
- 労災保険ではカバーできない他者への賠償責任に備えるには損害賠償保険が必須
- 保険によってカバー範囲や保険料は異なるので要比較
- 免責金額やオプション特約の有無で補償内容が大きく変わる
- 見積もりを複数取得して最適なプランを選ぶのが大切
一人親方は企業と違って、大きな資金のバックアップが期待できません。だからこそ、万が一のときの賠償リスクに備えて、十分な保険加入をしておくことで、自分自身を守るだけでなく、取引先や依頼主にも安心感をアピールできます。
大きな事故が起きる前に、ぜひこの機会に損害賠償保険を検討してみてください。

