一人親方として独立すると、収入面でのメリットがある反面、「万が一のとき」に備えるセーフティネットが薄くなりがちです。
会社員時代であれば、厚生年金や団体保険、給与保証制度など、ある程度のバックアップがありました。しかし、一人親方は社会保険の適用範囲が限られ、事故や病気による収入減がダイレクトに家計を圧迫します。
そこで重要になってくるのが、生命保険や収入保障保険といった保険商品の活用。
本記事では「一人親方 保険」をキーワードに、建築業界の一人親方に特におすすめの保険の選び方を解説します。
一人親方が保険を検討すべき理由
独立したての一人親方は、手持ちの資金や貯蓄が潤沢とは限りません。
さらに、建設現場では事故やケガのリスクも高いと言われており、万が一のときに備える必要性は極めて大きいと言えます。
会社員時代と異なる社会保険制度
会社員であれば、健康保険や厚生年金、傷病手当金など、公的保険の補償がある程度充実しています。
しかし、一人親方は自身で国民健康保険や国民年金に加入するのみとなり、傷病手当金のような給与補償制度がないため、収入減に即直結しやすくなります。
リスク管理が自己責任になる
労災保険の特別加入や損害賠償保険などは用意されていますが、自分自身の死亡や長期の休業に備えるためには、やはり生命保険や収入保障保険の活用が不可欠と言えます。
一人親方におすすめの保険商品:主なタイプ
生命保険や収入保障保険と一口に言っても、多数の保険商品が存在します。
ここでは一人親方に特に向いている、シンプルかつコストパフォーマンスの高い保険の種類を紹介します。
定期保険(掛け捨て型生命保険)
定期保険は、一定の保険期間内に死亡または高度障害状態になった場合、あらかじめ設定した保険金が支払われる商品です。
掛け捨て型のため、保険料が比較的安く、高額な保障を手頃な費用で確保しやすいのが特徴です。
メリット
- 保険料が安いため、コストを抑えながら大きな保障を得られる
- 死亡リスクが高い建設現場などの職種でも、条件付きで加入可能な商品が多い
デメリット
- 満期時に解約返戻金がない
- 高齢になるほど保険料が上昇する商品が多い
収入保障保険
収入保障保険は、被保険者が死亡または高度障害になった場合、毎月一定額の保険金が支払われるタイプの生命保険です。
例えば「月10万円」を保険金として設定すると、死亡後から保険期間が終わるまでその金額が支給され続けます。
メリット
- 遺族の生活費を毎月カバーできる
- 一括ではなく月払いのため、保険料が定期保険より割安になることが多い
デメリット
- 一括で大きな資金が必要な場合(住宅ローン返済など)は、別途考慮が必要
- 死亡時期が遅いほど、トータル受取額は少なくなる
就業不能保険(所得補償保険)
就業不能保険や所得補償保険は、病気やケガで長期にわたって働けなくなったとき、一定の収入を補償してくれる商品です。
特に一人親方は、病気や事故で仕事を休むと即座に収入減になるため、重要度が高いと言えます。
メリット
- 休業や傷病に対しても経済的保障が得られる
- 長期入院や通院が必要な場合でも、収入源を確保しやすい
デメリット
- 保険料がやや高く設定されることが多い
- 請求時に医師の診断書などが必要で、支給条件が厳しい場合も
保険商品を比較検討する際のポイント
さまざまな保険会社から生命保険や収入保障保険が出ていますが、一人親方は以下のポイントを押さえて比較検討すると良いでしょう。
1. 保険料と保障のバランス
保険料は毎月のキャッシュフローに影響します。一方で、保障が不十分だと万が一の時に家族が困るかもしれません。
保険料負担と保障内容のバランスを考慮して、「これくらいあれば十分」というラインを見極めましょう。
2. 建設業界への引受条件
保険商品によっては、危険度の高い職種として保険料が上がったり、引受制限がかかったりすることがあります。
あらかじめ建築現場で働いている旨を伝え、告知義務を怠らないようにしましょう。
3. オプション特約の有無
災害割増や傷害特約など、災害時に給付金が増える特約が用意されている商品もあります。
建設業ならではの事故リスクを考慮し、こうした特約を検討するのも良い選択肢です。
保険商品の比較一覧
実際の商品名を出すとキリがないので、ここではあくまでもタイプ別に主な特徴をまとめました。
保険料や補償金額は年代・保険期間・持病の有無などによって大きく変わるため、複数社の見積もりを取ることをおすすめします。
| 商品タイプ | 特徴 | 目安保険料例 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 定期保険(掛け捨て) | 一定期間内に死亡・高度障害に備える。解約返戻金なし。 | 30歳男性、保障3,000万円、保険期間20年で月2,000~3,000円程度 | 家族を守るため大きな保障を安く確保したい人 |
| 収入保障保険 | 死亡時・高度障害時に月々一定額が給付される | 30歳男性、月額10万円保障で月2,000~2,500円程度 | 長期間の生活費を毎月確保したい人 |
| 就業不能保険 | ケガや病気で働けなくなった場合の収入を補償 | 30歳男性、月20万円補償で月3,000~5,000円程度 | 休業リスクが高い建設業者 |
| 災害割増特約付き定期 | 災害での死亡・高度障害の場合、保障が上乗せされる | 30歳男性、基本保障+特約で月3,000~4,500円程度 | 現場事故のリスクを手厚くカバーしたい人 |
保険の見直しタイミング
一度加入したら終わり、というわけではありません。一人親方の状況や家族構成が変わるたびに、保険の見直しも必要です。
1. 家族が増えた・結婚した
妻や子供など扶養すべき家族が増えれば、その分保障額も上げる必要が出てきます。
保険料が多少上がっても、家族の生活を守るためには重要な見直しポイントです。
2. 事業規模の変化
一人親方から従業員を雇用するなど規模を拡大すると、経営とリスクのバランスも変化します。
場合によっては法人化して法人契約の保険を検討するなど、ステージに合った選択が必要になるかもしれません。
3. 保険料の負担が重くなったと感じたとき
経営状況が厳しくなったとき、毎月の保険料が負担となってしまうケースもあります。
その場合は保障内容や特約を整理し、コストを抑える方法を検討しましょう。
加入時の注意点:告知義務と免責事項
保険会社に加入する際、健康状態や既往症などの「告知義務」があります。
一人親方であること、建設現場に従事していることなどは、リスク評価に関わる重要事項です。
虚偽の告知を行うと保険金が支払われないリスクがあるため、正確に申告しましょう。
免責事項の確認
契約前に免責事項(保険金が支払われない事由)を必ずチェックします。
職業や事故の種類によっては、免責対象となるケースがあるため、事前に理解しておくことが重要です。
まとめ:一人親方が保険で備えるメリットを最大化しよう
- 会社員とは違い、傷病手当金などの公的保障が手薄
- 死亡保障なら「定期保険」「収入保障保険」がコスパ◎
- 就業不能保険で働けなくなったときの収入を補う選択肢も
- オプション特約や災害割増特約で建設業のリスクに対応
- 家族構成や事業規模の変化に応じて保険の見直しが必要
一人親方は、自分自身の死亡や休業がそのまま家族の生活や事業継続に重大な影響を及ぼします。
保険商品を賢く選び、しっかりと保障を備えることで、心の安定と経営の安定を同時に得ることが可能です。
ぜひこの記事を参考に、今のステージや将来の展望に合った保険を検討してみてください。

